平日は病院と家を往復する毎日のくろねこ。

この1年の疲れが一気に吹き出し、鉛の様な身体の重さを感じます。

唯一の楽しみは、帰り道に本屋さんに立ち寄り本を1冊買うこと。
薬を飲んでベッドにもぐり込み、買ってきた本を読み始める至福のひととき。

6時間後に君は死ぬ
高野和明
第47回江戸川乱歩賞受賞作「13階段」を書かれた作家さんです。
実はくろねこ、この作家さんの受賞作である13階段が良い意味で苦手でした。
後読感のあと味の悪さは今でも鮮明に残るぐらい。
だけどそれは素晴らしいクライムサスペンスの証であると思います。

書店で高野和明の文字を見かけたとき、最初どうしようか迷いました。
でも、久しぶりにサスペンスの世界に読み耽りたいのも事実。

映画畑の作家さんだから、スピーディーな展開と写実的な台詞まわし、
そして最後まで物語の結末が分からないミステリーに圧倒されます。
文字だけの世界だから妥当な言葉だとは思わないけど、
カット割りの方法やシークエンスの使い方は、さすが映画人だったと感じさせます。

『6時間後に』は、物語は6つの連作から構成されてます。
その中でも2つ目の作品「時の魔法使い」は必見。

13階段では「罪と罰」「法と正義」をストレートに投げかけ、
最後に読み手の心を奈落につき落としたけれど。

「時の魔法使い」は、とても心温まる素敵なファンタジー作品ですよ。
くろねこはぽろぽろ泣きながら頁をめくりました。

作品を読み終えて思ったこと、それは。
この1年間私が歩んできた道のりを振り返り「ありがとう」と言い、
明日の私へ1歩だけ踏み出せるようになれたことかしら。

そして。高野和明氏の作品を今まで以上に好きになれたことに感謝しました。